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創作 岡部さんのヒ・ミ・ツ

  1. 2015/04/24(金) 00:00:37_
  2. 仮眠室の枕(秘密創作短編)
  3. _ tb:0
  4. _ comment:1

また、発売日になっちゃったよおおおお

そのブタ、どこの国で調理して誰が食べるんだよーーーとか突っ込みたかったのに。(死体を国外へ運んだのかい!)

というわけで、かなり解釈に問題のある(かもしれない)創作でございます。

 
 





「あおき」
「なぜきづかない」
「おまえが・・・・・・・・・s」
「うわああああああおおおおおぉぉぉぉ、うおっ、うおっ、うおっ、はあっ、はあっ、はあっ、はああああぁぁぁぁ……」

 岡部は叫び声をあげ、そして自分の叫び声で目を覚ました。冷房のない真夏の朝の目覚めのように、頭から首からダラダラと汗を流しながら起き上ると、まだ鳴っていない目覚ましをオフにするが、外は明るくなっていた。脱いだパジャマをそのまま洗濯機に放り込んで回し、シャワーを浴びた。
 
 ちょうど炊き上がったご飯を茶碗によそい、椀に入れたレトルト味噌汁にやかんから湯を注ぎ、冷蔵庫から梅干しと沢庵と野沢菜と、前日にパックを開けて半分残した「骨まで愛してシリーズ・いわしちゃん・生姜味!」を取り出して座卓につくと、いつもどおりきっかり0.75合炊いたご飯を全部食べ始めたが、気のせいか、少し、多い気がした。
 新聞に没頭するふりをしながら、岡部はご飯をかきこんだ。
(気のせいだ。気のせいだ。しっかり食べて、仕事にいくぞ)

 いつもより15分早く家を出ようとすると、隣の男と同時になった。朝のあいさつの後、こちらをちらっちらっと見て、口を開きかけるが、岡部がぎょろりとした目つきで見やるものだから、岡部より若い隣人は挙動不審を丸出しにする。それは岡部の見かけが問題なのであって、隣人が何か後ろめたい何かがあるわけではない。分かってはいるが、内心傷つくところではある。それでも何か話しかけたそうなそぶりを見せる隣人に、岡部は半ば職務も混じった気分で声をかけた。
「何かありましたか?」
「あのー、最近、明け方近くに、唸り声ってゆーか、叫び声ってゆーか、聞こえてくること、ありませんか?」
 隣人は岡部の部屋のほうから、とは言わなかったが、ぎょっとなった岡部の顔を見てビビった隣人は、
「あ、いえ、何でもないです。すみません。それじゃ。今日は雨ですね、あはは」
と言って、エレベータを使わずに階段を走って降りて行ってしまった。
 岡部はボー然と見送った。

(話の途中ですが、説明です。「骨まで愛してシリーズ・いわしちゃん」は、架空の商品です。他に、さんまどん、さばっち、さけにゃん、あじっぺ、各々しょうゆ味、味噌味、生姜味、うす塩味があります。というつもりで作ったんだけど、念のためググったら、なんと歌謡曲があったらしい)

 岡部は困惑していた。
 薪が青木に向かって、あの言葉を言うのを目にして以来、岡部は起きて頭で考えているときは薪の気持ちが分かる、つまり簡単に言ってみれば、好きだというのは欲望ではなく愛情なのだと分かっているつもりだった。初めて青木が第九に来た時から、薪の青木に対する視線の向こうに鈴木を見ているのが分かったのは、岡部自身がそう感じたからに他ならない。
 岡部は鈴木に見識があった。だから、当初こそ見かけや雰囲気に似たところを感じたが、本質的なところで二人は大きく違っているのだと今は思う。だが、岡部の中でも、もちろん薪の中でも、初めは「なんとなく鈴木を彷彿とさせる」青木はとうに個の青木として確立されており、その青木を薪は青木として、好ましく感じる人間だと思っている、はずなのだ。だから、くだらない失敗をすると湯気を立てて怒るし、ケガをすれば死ぬほど心配もする。

 たらればの話をしても詮無いことであるが、もし、青木の薪との年齢差が今の半分であったら、上司と部下の関係を跨ぐのはもっと容易であったかもしれない。一回りも若いのではなく、5歳くらいの違いであれば、「管理職と言ってもたいして経験は違わない」者同士として、もっと気安く青木と付き合えたかもしれない。寝顔に向かってまるで恋心を告白するようなことしかできないようなことはなかったろう。きっと薪が青木との間に超えられない一線を引いてしまうのは、年齢差が大きな要因だと岡部は考えていた。自分が青木と友達になれるかと言われても、何か共通の趣味でもなければ、せいぜいが飲み友達のレベルで、やはりそれさえも飲み後輩の域を超えるのはお互いに難しいだろう。

 ともかく、岡部は薪の青木に対する気持ちを、半ば理解しているつもりでいた。だから、「すきだ」という言葉を聞いて(見て)も、青木の薪に対する気持ちが上司という枠を超えられないのであれば、薪が望んでいるであろう「友人」という関係になるのは難しいだろうと、だから青木の負担にならないように眠っている時にしか言えないのだろうと、岡部はあの時思ったのだ。
 ところが、数日来、夢の中の自分は薪の告白の現場に立ち入って、あまつさえその言葉を聞きたくない、言わせたくないというのは、夢の中の岡部、すなわち自分の本心は、薪の言葉を愛情ではなく愛欲の言葉と捉えているらしいのだ。
 あの、「すきだ」という言葉を。
 岡部は自分の思考に混乱していたが、まだ嫌悪感を覚えるというわけでないらしいところが救いだった。うむ。少なくとも、気持ち悪くはないぞ。

 岡部は、がむしゃらに仕事を回していた。タジクの事件が一段落すると、忙しくて封じ込めていたあの光景がフラッシュバックする。
 現場(?)を目撃したときは、青木と自然な友人関係に「なるわけにはいかない、なってはいけない」という薪の気持ちが分かるような気がしたはずなのだが、何度も夢に現れるようになると、自分の真相心理が、近頃ではちっとも珍しくなくなったように手をつないで街をあるく男どもと薪とを同じだと思っているのではないかと、岡部はその疑いに気づいて、その自分の心に疑念を抱いた。
 そりゃー、寝顔だけ見れば時々ヒゲの生えるお姫様とは思ったけれど、今まで「そんなこと」、思ったこともなかったっていうのに!! いったい俺はどーなっちまったんだ!!!
 薪のことより、自分に混乱していた。

 岡部はノイローゼになりそうだった。
「ああ、まずいな、まずいな」
 いったい何が問題なのか。
 薪が青木を好きなのは自分にも周囲にもわかりきっていることで。
 もちろん、岡部自身も青木のことは好きで、それは新人の部下・後輩としてでなく、青木の人となりが好ましいと思うわけであって、それだからして仕事の時も仕事に付随する仕事以外の、具体的に言えば飯を食ったり酒を飲んだりと色々好意的に接するわけであるしまたそうしたいとも思うわけであって、だから要するにそれが「好き」ってことであるわけだ。
 そうだ、俺だって、青木は好きだ。好きなんだっ。俺だけじゃない。青木を嫌いなやつはいない。薪が青木のやつを好きで、何かおかしいか!?
 まあ、薪のそれが、愛情ではなく欲望の側だったとしても、それは薪と青木の問題であって、自分の問題ではない。ないだろう。ないはずだっ。
 それなのに、それなのに、それなのに、あの夢はなんなんだ~~~!
 誰かに相談したい。だが。
 周囲を見回すと、かつての同僚はみんな地方に散ってしまって、ここには薪以外の古い人材はいないのだ。岡部はため息をついた。この連中に青木のことを話したって、話になるわきゃない。


 青木の怪我も治った後の、月一の全国室長会議。岡部は、薪が青木に向ける目線が気になってしかたない。特に、なんていうものでもないのだが。
 薪がいなくなった後、岡部は耐え切れなくなってぼそりと言ってしまった。
「薪さん、青木を……」
 それを聞きつけた小池が、岡部に聞いた。
「薪さんと青木がどうかしたんですか?」
「はっ・・・・・・い、いや、あの、その、おまえたちはともかくとして、青木のことをどう思ってんのかなあって」
 なんだか変な日本語だったが、あまり気にされなかったようだ。
 青木は自分のことが話題になって、きょとんとした顔をする。まずい、青木がいたんだ。後から気づくなんて、アホすぎた。
「ああ、今後の出向とか昇進とか?」
「そそそそ、そう」
「え、もうですか? でもしばらく福岡で室長ですよね、多分」
「室長だろうが、警視正になって管区を異動するのはあるだろうから気を抜かない方がいいぞ」
 今井がもっとも現実的なところを言う。
「ああ、そう、ですよね」
「薪さんの特別推薦があるとは限らないけどな」
「まあ、薪さんはなんだかんだ言っても青木のこと好きですからねえ。実は評価書の内容は甘々だったりして」
 まさかそんなあ、という青木の照れ笑いが暗い感じがしたが、岡部はうろたえた声を出した。
「す、すすす、す・・・き・・・?」
「え、だって、薪さん、青木に初めて会ったときから青木のこと好きでしょ」
「鈴木さんに似てたってのもあるだろうけど」
「青木、実は僕はお前を愛しているんだ」
「薪さん♪」
「ちょ、、、何ですか小池さん、曽我さん、やめてくださいよ。何、抱き合ってるんですか暑苦しい」
「まあ鈴木さんに似てるのは興味をひかれる直接の原因ではあるだろうけど、普通、そういうことがあると、すぐ違う人格だって現実を知らされるから、恋心も冷めるんだけどな」
 と、宇野。
「そうじゃないってことは、青木の仁徳だよな。自信持っていいよ」
 みんなが同意する。
「な、なんの自信ですかぁ。俺は薪さんとはー」
 そう言って言葉を切ったので、青木はみんなから好奇の目で見つめられた。
「なんだ、ついにその気になったのか」
「なんですかその気って。いや、その、なんていうか、」
 青木は、はーっとため息をついた。
「気が合わないわけじゃないという希望的観測はあるんですよ。でも」
「でも?」
「ええ、やっぱり、薪さんは神様みたいな人です。俺にとって」
 神様。
天の高みにいる、すばらしく、敬愛するが、手の届かない存在。
薪は、天から青木の隣に降りてこようとしているが、青木にその気持ちは伝わらないのだろうか。



「え?」
 と、薪は大きな目をさらに丸くして、多少不愉快な気分も表した。
「青木、もう、帰ったのか?」
「ええ。あれ、薪さんのところに行かなかったんですか」
「ああ、ちょっとうろうろしてたから。でもいつもはメール入れてくるのに・・・・・・なんだ。今日は時間があるからメシでも食おうと思ったのに」
「そりゃ、残念でしたね。久しぶりだったのに」
「怪我の具合も聞いておきたかったんだが」
「ああ、もう、ほとんど大丈夫らしいですよ」
「そうか」
 薪の、じとっとした眼差しに、岡部は恐ろしい嫉妬を感じて背筋が寒くなった。俺が悪いんじゃない、青木が薪さんに会わないで帰っちゃったのは、間が悪かっただけでしょうが!
「薪さんは、なんだかんだ言って、青木のことを目にかけてますよね」
「当然だ」
 薪は憮然として言う。その様子に、岡部は不意に確認したいという欲望に捕らわれた。そうだ。聞いてしまえ。何でもないことだ。だって、好きって言うのは・・・・・・。
「青木が来た時からやつのこと、好きでしたからねえ。離れて寂しいでしょ?」
 岡部は内心のドキドキを諭されないように、薪の暴力を避けるそぶりを見せながらさらりと言ったが、薪は本当になんてことなさそうに言った。
「ああ、やつは好きだ」
 そして、付け加えなくてはという感じで続けた。
「いまだに不確定要素が多くて目が離せないという意味もあるがな」
 その言葉に、岡部は心の底から明るく笑った。なぜか分からないが、薪の口から出たその言葉は、霧の晴れる魔法のような感じがした。

 その日から、あの夢を見ることはなくなった。


~~~~~~~~~~~~~~~
お読みいただきましてありがとうございました。
この後、薪さんの秘密と青木君の秘密があるんですけど、週末(発売前)がんばります。
がんばるぞ。
がんばろう。
がんばれ。
がんばらにゃ。


<<創作 薪さんのヒ・ミ・ツ | BLOG TOP | 原罪 ACT5 その1>>

comment

鍵拍手コメのSさまへ

  1. 2015/05/17(日) 23:45:32 |
  2. URL |
  3. 部下Y
  4. [ 編集 ]
Sさん、超絶ご無沙汰しております。

鍵のときのコメントの返事はどうするんだっけとかいって、以前のやつから探してしまった部下Yでございます。

岡部さんをかわいいと言ってくださってありがとうござます。ええ、新しい自分(?)にうろたえております(笑)

え・・・岡薪でハアハアするんですか? うーん、濃い。濃いぞ。

映画も配役が決定して、とりあえず落ち着いたといか、O野じゃなくてホッと一息ですね、ははは(汗)
とりあえず、男性陣については若干変ですが、まあまあってところだと思ってます。

ありがとうございました。
またまたよろしくお願いします。
(ふう、割と早めに書いたぞ)
 
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第九の部下Y

Author:第九の部下Y
部下Y(イプシロン)。清水玲子先生の「秘密-トップ・シークレット-」を愛するブログです。

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